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第151話

長岡の口端が上がる。 雄の顔だ。 いやらしい笑い方。 その目に逆らえない。 ズリ下がらないようにスラックスを押さえていた手を離すと、ストンと落ちた。 棒切れみたいな貧相な脚が晒される。 みっともなくて恥ずかしい。 男らしくもないし、女の子のように線も綺麗ではない。 本当に、骨に皮が貼り付いただけのもの。 それでも、長岡は愛おしいものを見る目で見詰めてくれる。 『えっろ』 「……」 こんな脚のどこがえろいのか分からないが、長岡がそう言ってくれて安心する。 あとは、部屋着のボトムスを履けば終わりなのだが…。 少しだけ。 『へぇ。 サービス良いな』 部屋着のシャツを臍が見える高さまで捲り上げた。 こちらも、平べったい腹筋に皮が張りついた貧相なもの。 鼠径部だって長岡のものとは違い、男らしさがあまり感じられない。 『夜、頑張っちゃおっかなぁ』 もうカメラを見ていられない。 目をキツく瞑り、手を更に上げる。 浮いた肋骨。 乳首。 首にかけているネックレスだけが隠れる高さまで上げ、恋人に身体を晒す。 はしたない行為だ。 だけど、そうしたかった。 見て欲しかった。 『あー、良いねぇ。 乳首まで丸見え。 やらしい』 「……」 『たまんねぇ』 言葉通り、鼓膜に吹き掛けられる煽り言葉。 『期待しとけよ、遥登』

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