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第156話

アナルの縁をなぞるだけの刺激しか与えられない三条は、時々物欲しそうな顔でこちらを伺ってくる。 だけど、そんな顔をされたって与えない。 その方が良いだろ。 お互いに。 「きもちーな」 『…ん、』 「言葉にして言ってみ」 『……きも、ち…です』 「じゃあ、“もっと”はいらねぇな」 え……と驚いた顔をした三条は手を止めた。 「気持ちんだろ? なら、良いだろ」 『……そ、れは』 あぁ、泣きそうな顔をするな。 興奮するだろ。 可愛い。 もっと困らせたい。 泣かせたい。 クソみたいな性癖がそれを望む。 自身の下半身も反応をしはじめる。 そりゃ、こんな可愛い姿を見せられてら当然だろ。 心の奥深いところから愛している子なんだからな。 『…………や、だ。 もっと、欲しいです…』 「欲しい?」 『ほし、…ください』 望むものを与えてくれる可愛い恋人。 その恋人を困らせるのが、こんなにも性癖に響くなんて。 『俺……、』 泣かせたい。 膝頭を擦り合わせ必死に快感に耐えているのを、めちゃくちゃに溺れさせたい。 深いところへ行くなら一緒にだ。 『俺…、正宗さんに、開発されて……その、えっち好き……に、なったから、』 どんどん下を向くから頭の天辺が見える。 が、その顔がカメラを捕らえた。 『もっと、正宗さんの好みに…して、ださい…』 上がる口角を抑えきれない。 たまらないお誘いだ。 可愛い。 愛おしい。 食べてしまいたい。 今からそっちに行ったら……いや、楽しいことはきちんと“待て”が出来た後の方が際立つ。 なら、今、自分がすべきことは決まっている。 「うん。 もっと俺好みにしてやる」 カメラの向こうも嬉しそうな顔をした。

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