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第191話
担当教諭のクラスで自己紹介。
付いて行く先で自己紹介。
いつもにこにこしている三条でも、些か顔の筋肉に力が入っている。
長岡が教師の仮面を貼り付ける理由が解るようだ。
模擬授業もまともに受けられず、ほぼぶっつけの状態。
緊張しない方が無理だ。
漸く腰掛けられた三条は、スーツのポケットからメモ帳を取り出し確認しつつ昼食を済ませようと頭の中でタイムスケジュールを組み立てていた。
コンコンコン…ッ
「三条くん」
「はい?
あ、相川先生。
お久し振りです」
「お久し振りです。
お昼、生物室で食べませんか?」
急な申し出に三条は担当教師をみた。
その教諭は年配の先輩教師へと手を滑らせる。
その先にはもうすぐ定年を迎える亀田。
「僕が頼んだんですよ。
ここは、生徒だけでなく外部の方の出入りもあります。
万が一を考えて他室が良いんじゃないかと、他の先生と話したんです。
隣の、生徒指導室も良いですが、生徒の相談にも使いますし空けておきたくて。
それで、同じ階の相川先生にお願いしたんです。
教育実習といっても、大学からの預かっている大切な生徒さんですからね」
心ない言葉を突き刺してくる大人もいるが、長岡や両親以外にも守ってくれる大人はいる。
それが、こんなにも胸に染みてくる。
若者を一括りにされるように、若者も大人を一括りにしてはいけない。
だって、ちゃんと個人として見てくれる人達がこんなにもいる。
忘れるなんて勿体ない。
しっかりと受け止めさせてください。
「でも、良いんですか…?」
「はい。
なにか用事があればよびに行きますから。
体調管理も仕事の内です。
パワハラですかね」
「…ありがとうございます。
では、お言葉に甘えさせてもらいます」
深く頭を下げると、休み時間はしっかり休むんですよと更に背中を押された。
「では、お預かりします」
「いってきます」
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