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第197話
穏やかな瞳が映す三条に、長岡が重なる。
だけど相川は驚くことなく1つ頷いた。
「三条くんは、長岡先生にとてもよく似ていますね。
姿形や能力の高さとかそういう…なんて言うんですか……人を判断する時につい使ってしまうもの…?
あの…、すみません…、あまり言葉を知らなくて…。
けど、そういうものではなくて、ふとした瞬間思うんです」
申し訳なさそうな顔をする相川は、次の瞬間、あ!と声を出した。
「あっ、家族みたいです。
そう、家族。
内面の美しさや心の輝きがとても似ているなって。
夫婦って、血縁はありませんし容姿が似ている訳ではないのに、なぜかご家族だって分かる時がありますよね。
そんな感覚にとてもよく似ています」
歳も全然違うのに不思議だなって思ってたんですと更に続けられた。
「だから、きっと素敵な先生になれますよ」
どうしよう。
泣きそうだ。
「なれ、ますかね…」
「なれますよ。
今は緊張していっぱいいっぱいかもしれません。
けど、3週間なんて過ぎたらあっという間です。
僕も……すごく緊張して、沢山の迷惑をかけてしまいましたが、僕が大丈夫だったんです。
三条くんなら身に出来ます。
僕より、ずっと良い先生になれますよ」
「そんな、ご謙遜です。
先生の授業もすごく面白かったです」
「嬉しいです。
ありがとうございます」
本当に謙遜ではない。
命の尊さと儚さを教えてくれた先生なんだから。
お手本になる教師ばかりに囲まれた高校時代を過ごしていたのだと、教育実習生になり知ることが出来た。
それがどんなに贅沢だったのかも。
その人達に沢山のことを学び、目一杯背伸びをして吸収出来ることは頭に叩き込みたい。
きっと、血肉になるから。
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