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第201話

兄と弟はスースーと寝息をたてながら眠っている。 横になるだけではすまなかった。 隣で宿題をこなしながら優登は兄弟を見下ろす。 「美月ちゃん、このまま綾登連れてくね。 遥登は起こす? ご飯食べてないよね」 「ご飯もお風呂もまだだから起こさないと。 でも、起こしちゃうの躊躇うね」 頭や身体が疲れて休息を求めての睡眠だ。 それだけ疲れているのに起こしてしまうのはと思う気持ちはよく分かる。 父は、ぴったりと引っ付いた綾登を抱き上げるとゆっくりとリビングから出ていった。 母は兄の肩をトントンと揺らす。 「遥登、起きて。 ご飯とお風呂まだだよ。 それと、寝るならおふとんで。 風邪ひいたら実習行けないよ」 「ん、……うん」 眠い目を擦る兄を横目で見る。 頑張っている姿だ。 格好良い。 だけど、心配もある。 兄がスーツのまま寝るなんて。 めんどくさいと言いつつも部屋着に着替える兄がだ。 「ごめん、寝てた…。 ご飯……あと出来るから大丈夫。 ありがとう」 「せめてベッドで寝てね。 階段落ちないでよ」 「わかった」 「俺がいるし、大丈夫。 風呂済まして寝たら」 「じゃあ、そうさせてもらおうかな」 不器用な言い方しか出来ない。 それでも、母親はそこから優しさを汲む。 ちゃんと伝わっているとばかりに。 「兄ちゃん、味噌汁あっためるから飯食おう」 「うん」 「綾登かよ。 米、沢山食う? 食える?」 「食う」 寝起きなんて関係ないこんもりと盛ってやる。

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