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第202話

まだ髪はしっとりしているが、ベッドに寝転ぶと重い目蓋が閉じていく。 飯を食べ終え、食器を洗い。 風呂に入って、ドライヤーで軽く髪を乾かした。 だが、既に限界だ。 ドライヤーなんてしなくても良いとさえ思ったほど。 だが、翌日のことを考え濡れ髪だけは避けた。 風邪なんてひいたら実習の半分ほどが潰れてしまう。 貴重な実践的授業なのだか、そんな暇はない。 やば、目が開かねぇ…… 長岡の声が聴きたいのに。 長岡と話したいのに。 スマホに手をとり、通話アプリを開いた。 ただいまの返事に言葉を返したい。 なのに、目が閉じていく。 正宗さん、 長岡と交換したシャツを手繰り寄せ抱き締める。 せめて、においを近くに感じたい。 大好きな良いにおいに包まれ、更に眠気が頭を撫でる。 母親みたいな手でされたらたまったものじゃない。 長岡もこんな経験をしたのだろうか。 もっと余裕があったのだろうか。 明日は早く起きて指導案をもっと練って。 やることも、したいことも沢山あるのにもう限界。 三条はアプリを開いたまま気持ちの良い睡魔に抱かれた。

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