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第206話

ベットの上で壁に寄り掛かりながら対戦ゲームをする。 集中しているのか三条の背中も丸まり猫背だ。 「やった! 勝ちました!」 『あー、マジかよ』 「1勝1敗です」 『もっかいやろうぜ。 次は勝つ』 長岡と時間を過ごしている内に身体に入っていた力が抜けてきた。 気が付かなかったが先程まではぎゅっと筋肉にも力が入っていたのか、今は随分と楽だ。 単に気分がかわったかもあるだろうが、どちらにしても長岡のお陰。 『次は遥登からで良いぞ』 「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらいます。 次も俺が勝てそうな気がするんです」 『奇遇だな。 俺もだ』 本来ならゲームをしている暇なんてない。 詰め込んで、詰め込んで、頭をパンパンにしても足りない。 だけど、眠くても眠れない。 長岡は、その時間をボーナスステージだと言った。 それがなくとなく嬉しくて、無敵時間を堪能する。 『やべぇ、負けっかも』 自分がそうなので兄という存在がイマイチ分からないが、一緒に遊んでいる時の長岡はそういう雰囲気もある。 恋人同士の甘い時間とはまた違った、しあわせな時間。 「へへっ」 『余裕じゃねぇか。 俺が勝ったら自撮りくれよ』 「正宗さんが負けたら、くれますか?」 『なに、オカズに使ってくれんの? ならやるけど』 「……今は、忙しく…あの、…………実習が、おわったら」 『その前に抱いてやるよ』 「…っ!!!!」 慌てて画面を見るとニヤニヤと楽しそうな顔をした恋人と目があった。 本当に自分の扱いが上手い。 「また真顔で冗談を…」

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