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第207話

『また真顔で冗談を…』 「冗談じゃねぇよ。 本気」 その言葉に画面の向こうの三条は真っ赤になった。 肌の色まで分かりやすい子。 それがとても可愛らしく、長岡は好きだ。 『あ…っ』 「お、俺の勝ち」 『いや、今のは…だって…』 そうこうしている間に、手元のゲーム画面には勝敗が映し出される。 まぁ、三条が恥ずかしがって公平な勝負ではなかったかもしれない。 けれど、勝ちは勝ちだ。 「俺の勝ちだから、自撮りくれよ。 やぁらしいのでも良いけど」 『ふ、つうの…』 時々子供っぽくなる口調が好きだ。 年相応なんだと安心もする。 学校での大人びた印象は、恋人の時は見えない。 寧ろ、幼くみえる。 生徒の1人という役割ではなく、ただの人間と人間の関係だからだろう。 「普通のな。 楽しみにしてる。 あ、遥登さえ面倒でなければスーツのやつが欲しい。 大学の入学のくらいしかねぇし」 『スーツの…。 はい』 そんなので良いのか…?と少し不安そうな顔。 だけど、中々写真に収める機会のないスーツ姿。 ある意味貴重だ。 「やらしいのもくれるつもりか?」 『……そ、れは』 コクンと頷く頭に、笑みが溢れる。 本当に、この子らしい。 『おかずに、して、ください…』 「くく…っ、くくっ。 分かった。 メインにするな」 長岡は楽しみが出来たと笑う。

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