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第214話

今日も実習が終わった。 今日の授業についてを忘れない内に簡単に纏め、指導教諭や亀田に心配されない時間に校舎を出た。 ムシムシする暑さは昼間と変わらずジトッとし ワイシャツを不快にさせる。 こんな温度の中でもジャケットを気崩さない長岡が心配だ。 通話する際に、何回でも熱中症に気を付けて欲しいと口にしよう。 コンクリートがふにゃふにゃに感じるあの気持ち悪さを経験して欲しくはない。 スマホとキャラメルをジャケットのポケットに入れながら玄関から出たところで、体育着を着た生徒と鉢合わせた。 「あ、三条先生だ。 帰るの?」 「はい。 皆さんは、まだ部活ですか?」 「もう終わったよ。 でも、話してたいからまだ帰らない」 自分達の時と変わらぬ青い春。 それが、こんなにも眩しく見えるのは三条自身が青から変化したからだろうか。 友人達もそれぞれ道を選び走っている最中。 もう戻れないのだと皆が理解している。 それが、少しだけ寂しい。 「友達と話すの楽しいですよね。 でも、暗くなる前には駅に行ってくださいね。 皆さん可愛いから心配です」 「えー、嘘だぁ」 「本当ですよ」 どんな時だって澄んだ青色の輝きは変わらない。 美しくて気高くて、そして儚い。 あっという間に大人になってしまう。 その手前の一瞬のキラめきだ。 どんなに拘束や制限があろうとも、その輝きは失われない。 それが青春。 それを取り上げるなんてことはしてはいけない。 この子達は自由であるべきなんだ。 「不審者に会わないか心配ですよ。 変な人に会ったらすぐに逃げてください」 「はぁい」 「ね、先生って彼女いるの? やっぱり実習生って忙しくてデート出来ないの?」 「彼女は…秘密です。 居たとしてデートしているところを見られるの恥ずかしいですし、相手の気持ちを確認せずにいるとは答えられません」 「あー、いるんだ。 良いなぁ。 私も彼氏欲しい」 「私も。 年上が良いなぁ」 聞いてない… けど、早く正宗さんに会いたいな
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