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第216話

三条は相変わらずコロッと寝落ちた。 寝付きが良いというかなんというか。 実習中はこんなものだ。 疲れて帰宅し、飯を食べまた勉強。 勉強、勉強、勉強の3週間だ。 しかも、三条の場合は寝落ちることをタイムスケジュールに組み込んでおり、早朝にアラームを設定してまた勉強をする。 その音が通話口で聴こえる状態を危惧しその前に起きる徹底ぶり。 よく目覚ましなしでそんな時間に起きれるなと感心するほどだ。 深く眠っているのか寝言もない。 元々寝相も良いし、差ほど寝言も言わないのだが。 繋げた画面の向こうで腹が微かに上下するのみ。 冷房で腹が冷えてないか。 そんな堅い所で寝て身体は痛くないか。 近くにいることが出来たら、腹にふとんをかけ、ベッドへ運ぶのに。 それが出来ない距離が恨めしい。 通話越しなのが悔しい。 けれど、家族の保護下にいるのなら安心なのも本当だ。 矛盾ばかりの人間だ。 「遥登、愛してる」 聴こえていなくて良い。 届いていれば。 そう思い口にした言葉は、夢の中にまで届く。

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