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第217話

むくりと頭を上げると空が白みはじめていた。 良かった アラームの前に起きれた 顔にかかる髪を後ろにやりながら、眼を擦る。 流石にまだ眠い。 床で寝るのも完全な熟睡をしない為。 勉強をしてもし足りない感覚があるので睡眠時間を削っている。 3週間だけと期限があるから出来ることだ。 三条も長岡同様に朝型な訳ではない。 けれど、深夜まで体力がもたず眠くなってしまう。 つまりは作業効率が落ちる。 なら、仮眠等で休息を挟む方が効率の回復が大きい。 後は、親が与えてくれた能力を使うのみ。 使えるものを持っているのだから、ありがたく使わせてもらう。 だけど、それが長岡に心配をかけているのも理解している。 通話画面には眠る長岡の頭。 擦れ違う時間が寂しいのはお互い様だ。 上下するふとん。 その脇に付箋が貼られている。 最近の恒例だ。 『おはよう。 今日もクソ暑いらしいぞ。 まだ寝てるけど、なんかあったら起してくれ』 先に起きる自分の為にメッセージを残してくれる。 それも、アプリの着信音で起してしまわないようにアナログな方法で。 メッセージも毎日少しずつ違う。 それが嬉しい。 おはようございます 正宗さんが起きるまで勉強頑張ります 顔を洗って、なにか飲み物を持ってきて寝る前の続きだ。 静かに部屋を抜け出し、階下へと歩く廊下は既に蒸されている。

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