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第220話
中にかき氷のような氷の包まれたアイスにかじりつきながら、放課後の音を楽しむ。
部活動の音が少しだけ戻ってきた。
学生は楽しいことをしなくてはいけない。
今になって長岡の言っていたことの本当の意味を知れた。
それにしても、アイスは甘くて冷たくて最高に美味しい。
「そうだ。
研究授業、僕も見に行きますね」
「…ありがとうございます」
「あ…、緊張…しますよね」
それさえ乗り切れば終わりなのだが、沢山の教員が見に来るそれ。
上司が来る授業参観といえば近からず遠からず。
しかも、それを評価されるのだから皆の顔が渋くなる。
それは三条も例外ではない。
「僕は、失敗してしまって…。
緊張すると、どもってしまうので…何度も噛んでしまったんです…。
けど、それでも、こうして先生になれたんです。
不安になったら僕のことを思い出してください」
「相川先生は優しいですね。
先生が来てくださるなら、心強いです」
知っている先生だからこそ、緊張をする。
だけど、相川のように見守ってくれる教師もいると思うと頑張れる気がする。
どうせなら理系の先生にも楽しんでもらえるような授業が良い。
指導案を書くのも楽しまないと。
そう教えてくれた先生には見せられないが、その人にも報告をしたい。
出し切ってきた、と。
「本当に三条くんは良い子ですね」
「いえ…、そんな」
「でも、少しだけ楽しみです。
教えていた子が、教える側になるんですよ。
長岡先生にも見て欲しいです。
あ、緊張させてしまったらすみません…」
「いえ。
相川先生にも古典に興味をもっていただけるような授業がしたいと思っているので、頑張ります」
「はい」
それからまたアイスを食べながら他愛もない話を続けた。
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