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第229話
「ごちそうさまでした。
美味しかったです」
「ん。
綺麗に食ってくれてありがとな」
そんなの当たり前のことですよと何の気なしに言うが、嬉しいことにはかわりない。
汁以外残っていない皿が嬉しい。
それは紛れもない事実だ。
食器を下げ、三条は机を拭きに行こうとする。
その背中に待ったをかけた。
「冷蔵庫の中にスイカあるから取ってくれるか。
一緒に食おう」
「はいっ。
あ、黄色いスイカです!
なんか黄色だとテンション上がりますよね」
「実習、頑張ったからな」
「ありがとうございます!」
皿を洗っている間に三条は机を綺麗にして戻ってきた。
その顔はにこにことご機嫌そのもの。
スイカ1つでこの顔か。
本当に良い子だ。
カットされた物がなかったので切り分けようとする背中に三条は近付いてきた。
そして、少しだけソワ…っとする。
「背中なら良いぞ」
「っ!!」
キラキラした顔で背中に抱き付いてきた。
抱き付きたいと顔に書いてあるんだ。
甘やかさない理由はない。
今日甘やかさないでいつ甘やかすんだ。
それに、後ろからなら差ほど目くじらをたてなくても良いだろう。
「今日は、とっても良い日です」
「指輪もらった日より?」
「それはまた別です。
特別な日ですよ」
「ふぅん?」
サクサクと切り分ける背中に額を擦り付けてくる。
これは、中々下半身にキそうだ。
小さく切り分けたそれを背後に回し餌付けもする。
少しは接触も軽くなるだろう。
けれど、くっ付いたまま食べるもんだから、やっぱり下半身がイラっとした。
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