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第233話

「食べ頃だなぁ」 Yシャツの前がはだけても、下に着ていた肌着のお陰で素肌は晒していない。 汗を吸ってもすぐに乾いてくれるこのシャツは着心地が良い。 それが露出から守ってくれていた。 けれど、そんなの簡単に捲られる。 「自分で捲って腹見せろ」 「……はい」 震える手でシャツの裾を掴んだ。 それから長岡を見上げる。 けれど、にっこりと笑顔を称えるだけで許しは得られない。 おずおずと捲り上げ、食ったばかりで僅かに膨らんだ腹を晒した。 「俺との子?」 「…っうどん、です」 「俺が膨らませたのか。 気分が良いな」 「…はず、かしいですから…そういう言い方は…」 わざとらしい例えにドキドキがとまらない。 長岡との子ではないが、長岡が脹らませたのは事実。 なんだかえっちな気分になってくる。 長岡はしゃがみ此方へと手を伸ばす。 「え、」 「指にしてねぇと思ったら」 「あ、それは…」 指先でチェーンにぶら下がる指輪が揺れた。 「おまもり、ですから…」 「お守りか」 声色はとても優しいのに、目のギラ付きは変わらない。 「これがあったから、頑張れました」

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