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第240話

肌と肌がぶつかる音が響く。 だけど、挿入はしていないので水音はしない。 それが物足りないと思うのはお互い様。 “絶対のモノ”があるのとないのとでは、こんなにも違う。 「はず、かし…」 「恥ずかしい? 恥ずかしいの好きだろ」 「そんな…あ゛っ」 目下で引くヒク付く縦割れにゴムを嵌めた指を突き刺した。 「どうした?」 「けつっ、に…ゆびッ、なんで…」 いきなりのことに三条の声が上擦るが、構わず指で内壁を撫でる。 時々グリグリと押し込んだりすると三条の腰が落ちていく。 大方、意識がアナルにいっているのだろう。 そりゃそうか。 こんなに締め付けてくるのだから。 「えー、欲しそうだったしなぁ。 それに、その方が三条も良いだろ」 「…あっ、そこっ、」 「おい、ケツ下げんなよ。 ケツ擦り出来ねぇだろ。 犬みたいにしろって」 弾む声が隠せない。 楽しい。 可愛い。 もっとしたい。 保育園児のような感情のまま、排泄器に突き刺した指を動かす。 「は、っい…い……」 腰を上げようと踏ん張っているのか締め付けがより一層増した。 身体というのは不思議なもので、どこかに力を入れれば連動したり、逆に緩んだりする。 下腹部は特に連動し、腹部に力を込めるとアナルも締まる。 アナルが緩むと尿道も緩む。 だから、セックスは楽しい。 意図し得ないことが起き、より一層の羞恥心を味わえるんだ。 羞恥心の高い三条がそれに塗れ眉を下げるのもたまらなく好き。 加虐心がメラメラと燃え上がる。 本当に相性が良いとしか言えない。 お互いがお互いを補完し合える。 年代こそ違うが、同性で、恋人同士という関係で。 「…んんッ、…はっ、……ハァ」 「その声、もっと聴かせろ」 ジワっと色味の増す項に長岡の加虐心はとまらない。

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