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第243話

「今日だけ特別だぞ」 身体に重みが増した。 心音が重なる。 アナルから指が引き抜かれ、ゴムを纏った指が陰茎を握った。 「炎症になったら言え。 一緒に泌尿器科行こうな」 長岡が言った言葉の意味も理解出来ない。 炎症。 泌尿器科。 今はセックスの最中で、射精したらソファが汚れて。 なんの、話…だろ…… 薄くなる酸素に頭の動きが鈍くなる。 「あ゛……ア゛…っ、」 今度は背凭れに額をくっ付け、背中を丸めた。 陰茎が扱かれている。 大きな手が強すぎず弱すぎずの力でゴシゴシと。 快感を逃がさないと馬鹿になる。 大き過ぎておかしくなる。 「イけ」 「よっ、ご……あっ、ぐ…ッ」 ブランケット越しに聴こえてくる声も、大きな手も、身体を昂らせる。 耳、鼓膜まで気持ち良い。 「イけ」 「ぅ゛…ッ」 「射精しろ」 「あ゛……」 低い喘ぎ声と共に唾液がポタポタと溢れる。 飲み込めない。 汚しなくないと言っているのに、ソファを汚してしまっている。 駄目なのに。 汚したくないのに。 「ひ…ッ」 「射精しろって」 「ぃ゛…っ、い゛……ぐ…」 足の指を丸めても、快感は逃げてくれない。 手をキツく握っても。 大きな手に、手を伸ばしても無駄だった。 「あ゛…え゛…っ、」 腰が痺れるような射精感。 気持ち良くてたまらない。 「ははっ、イったな。 良い子だ」 残滓まで搾り取られ、三条はソファに沈み込んだ。

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