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第248話
夏休みに突入した。
といっても、小中高校の時のように課題がある訳ではない。
それでも三条は教育実習中のメモを見ながら、反省点や問題点、それから足りないと思った学力を補う為の勉強をしていた。
努力をすることしか出来ない。
だけど、努力は出来る。
反する2つの気持ちの中、我武者羅に机に向き合った。
少しでも早く長岡に追い付きたいので走り続けるのをやめない。
目標はうんと高い。
こんな時だって関係ない。
そうしないと目標にも失礼だから。
三条が持ち前の集中力を発揮させていると傍らのスマホが着信を知らせる。
『外、見れるか』
そんな簡素なメッセージに、シャーペンを机の上に転がし部屋のカーテンをずらし外を見た。
そこにいた透明な傘を指す人陰がこちらを見上げる。
「っ!」
暗がりだって“その人”が誰なのか分かる。
正宗さんだ
なんで、今日は約束してないし
あ、もしかして俺が忘れてるだけ…?
やば…
直ぐ様、スマホにメッセージを打ち込んでいくと先にあちらから飛んできた。
『顔見たかっただけだ。
雨降ってるし出てくんなよ』
『今行きます』
スマホとマスク、濡れても良いようにフード付きの上着を引っ付かんで早々に部屋を飛び出た。
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