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第250話

軽い足取りで歩く夜道。 やっぱりデートが出来る週末が大好きだ。 あ、でも、恋人の方がもっと大好き。 雨に濡れたコンクリートのにおいの中を2人で歩く。 「コンビニ寄って良いか」 「はい」 「外暑いから一緒に入るか?」 「でも…」 「店員1人だし、俺より年上そうだけど」 外から様子を伺うと、年配の男性店員が1人欠伸をしている。 近所の人ではない。 生活時間が違うし、レジに近付かなければ大丈夫だろう。 「じゃあ、お言葉に甘えて」 「アイスと飲みもん買おうな」 「はい」 並んで入店すると一気に涼しくて汗が引いていく。 「なに飲む?」 「お茶かサイダーが良いです。 少し迷わせてください」 「ん。 じゃあ、アイス見てるな」 長岡は三条が気を遣わなくても良いようにアイスのボッスクを見に行った。 お茶かサイダーか。 シュワッと爽やかなサイダーも良いのだが、甘くて喉が乾きそうな気もする。 そうすると無難にお茶か。 苦味の強いお茶ならすきっとするだろうか。 緑色の濃いペットボトルを手に取った。 「お待たせしました」 「お、選んだか。 パプコ食うか?」 目だけで半分こですか?と聴けば頷かれる。 「はい」 「んじゃ、支払ってくる。 貸しな」 自分の分くらい自分で支払おうと思ったのだが、長岡は三条の手からペットボトルを自然に取るとレジへと向かってしまった。 「あ…」 ポツン、と残される三条は邪魔にならないように出入口近くへと移動した。 長岡は、さらりとこういうことをしてしまう。 こんなの女の子じゃなくともキュンとするというのに。 「お待たせ」 ほんと、サディストを除けば完璧なんだ。

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