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第257話

餡蜜とわらび餅、ラムネを買って足取り軽い散歩道。 行く前にコンビニでスポーツドリンクを購入したので、信号で止まるごとにチビチビと飲んでいる。 そのお陰か汗をかいても元気だ。 正宗さんの分も買ったし、おまけまでもらっちゃった このお菓子は優登にあげよ 普通の餡蜜に、抹茶餡蜜とコーヒー餡蜜まで買ったので紙袋は重さがある。 だけど、嬉しい重さだ。 保冷剤を付けてもらったがラムネが温くなる前に帰って、喉を潤したい。 暑い外で飲むのも良いが、なにせ体温を超える気温だ。 足取り軽いマンション前の曲がり角。 花壇の隅に花弁の形を見付けた。 小さな知り合い。 三条はしゃがんで身体を小さくした。 「元気? 会いたかったよ」 サクラ猫は三条を見るとゆっくり目を閉じた。 長岡から、これは挨拶だと教わったので、ゆっくりと瞬きをして返す。 「今日も可愛いね」 頭を撫でると、ぺちゃっと表情が緩んだ。 地域の人達から可愛がられているのが伺える。 共存と言えば聞こえは良いが、どちらもがなにかを譲らなくてはいけない。 それが出来ないのが人間だ。 自分は、自分だけ、ついそんな言葉を使ってしまう。 この子達は文句もなにも言えないのに。 ゆっくりと毛並みに沿って撫でて、頭の天辺をスリスリと擦る。 「暑いね。 水、飲んでね。 ご飯も」 鼻を上げ、木持良さそうな良さそうな顔をする可愛い生き物。 「気持ち良い?」 ゴロゴロと喉を慣らし鳴らしはじめ、三条はふにゃっと表情を緩める。 「可愛いね」 荷物を傍らに下ろしポケットから取り出したスマホでその様子を撮影する。 そしてそれを大切な人へと飛ばした。 「ヤキモチ妬いてくれるかな」 そんなことより撫でるのをやめるなとばかりの可愛い子を撫でながら返事を待つ。

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