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第259話

「ただいま」 三条は既に帰宅しているが、癖になった挨拶をしてしまう。 そんな事は気にせず革靴を脱ぎ足早にリビングへと歩みを進めた。 朝より綺麗になっている部屋には、恋人のにおいが残っている気がしてなんだか気分が良い。 シンク脇の折り畳める水切り籠の中も綺麗に片付いており、磨いてくれたのか光の反射が綺麗だ。 そこで手洗いうがいを済ませ、行儀悪くそのまま冷蔵庫を開けた。 冷蔵庫を開けると久し振りに充実していて、冷凍庫にも保存食が並んでいる。 それだけで心が満ちていく。 至るところに残る恋人の名残まで愛おしい。 それに、丁寧な字で各々に料理名が書かれているのがなんとも擽ったい。 家族を想像するからだろうか。 早めに食べてください、食べきれなかったら冷凍してください、そんな添えられている一言すら愛おしい。 しっかし、種類すげぇな 時間かかっただろうな 炒めるだけで食べられるように下味を付けたものや、それと一緒に使えるようにキノコ類や葱、油揚げが丁寧に刻んで冷凍されている。 自宅で夕食を作っているだけあって、こういう物があるとちょっと便利で嬉しいというのが用意されているのが本当に助かる。 味噌汁も葱があるとちょっと嬉しい。 キノコ類は数種類が切られた状態で混ざっているので、包丁や俎板を使うことなく汁物にそのまま入れたり炒めたり出来る。 その“ちょっと”を考えてくれているのが三条らしい。 うわ、煮魚 最高かよ 食べたいと言っていた煮魚も美味そうな姿で用意されていた。 本当に、最高の冷蔵庫の中身だ。 早く飯食お

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