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第260話

「いただきます」 豚汁を啜ると、豚肉の甘みや旨み、野菜の出汁がしっかりと出ていてそれだけでご飯が進む。 冷凍の葱もしっかり入れ最高の味噌汁だ。 その口で白米を頬張ると、しあわせを噛み締める。 次は煮魚に箸を伸ばした。 「うめぇ」 その言葉に、恋人は嬉しそうな顔をした。 『お口に合って良かったです。 甘過ぎませんか?』 「最高」 なにを食っても美味い。 塩梅が抜群だ。 味付けがすごく口に合う。 まるで中高生のようにバクバクと米を掻き込む姿に三条は画面の向こうでふにゃふにゃと笑う。 「どれ食っても美味い。 なに食っても美味い」 『大袈裟ですよ。 でも、嬉しいです』 「マジで助かった。 ありがとな」 『いえ。 俺の方こそありがとうございます。 バイト代だけでなく色まで付けてもらって…』 三条のことを信頼している長岡は、そのバイトの仕事ぶりを想像し多く封筒にいれておいたのだった。 三条の性格上その場で確認されるか賭けのようなところはあったが、自宅に帰ってから中を見たらしく約束と違いますと連絡が入ったのは夕方のこと。 ま、次からは部屋で中を確認され多ければその分置いて行かれるだろう。 そうなったら封筒を糊付けすれば良いか。 密かにそう決めながら、また煮魚を口に頬張る。 やっぱり美味い。 「しっかり綺麗にしてもらったからな。 支払いは俺に決定権があるし」 『でも、多すぎです…』 「でも、じゃねぇよ。 こんな綺麗にしてもらったんだから。 貯金しとけ」 貯金なんてあってなんぼ。 寧ろ、ないと不安になる。 それが講座でも箪笥でもだ。 きんぴらごぼうもうめぇ タッパーごと食いてぇ 『そう、ですね。 正宗さんの老後は俺がしっかり守ります』 俺に還元するつもりかよ… ほんとに… 「遥登の老後は俺が保証するから」 『プロポーズみたいです』 「遥登もな」

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