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第264話
「ばばーい」
「綾登、誰に手ぇ振ってんの?」
お迎えから帰ってきた長男と三男。
先に手洗いを済ませた綾登はべったりと窓に張り付き外へと手を振った。
野良猫だろうか。
それとも鳥か。
「猫?」
すると、すぐにチャイムが鳴り響く。
「ねこちゃ」
「あ、はーいっ。
綾登、待っててな。
危ないとこは駄目だよ」
洗っていた手を素早く流し、今し方外したマスクを付け直して玄関へと向かう。
ドアの向こうにいたのは猫の宅急便。
確かに猫ちゃんだ。
「あ、こんにちは。
三条遥登さんに、お荷物です。
判子要らないので、受け取りお願いします」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます。
バイバイ」
「ばーばい」
部屋から出てきた弟がフリフリと手を振ると、ドライバーのお兄さんも振り返してくれた。
暑い中で笑顔で対応してくれ、有り難い。
パタン、とドアが閉まってから受け取った段ボールを手にリビングへと戻るのだが、綾登が脚に絡み付いてくる。
「綾登、戸開けてくれると嬉しいなぁ」
「あーいっ」
脚から離れると小さな両手でドアを抑えてくれた。
出来ることが沢山増え、運動量も増えた。
それでもまだまだ甘えたの怪獣だ。
「ありがとう。
助かった」
「たちかった?」
「うん。
助かったよ」
「じゃあ、あそぼ」
「遊ぶのか?
なにする」
「ボールっ」
「ペットボトル倒すのやろっか」
夕飯の仕度は綾登と遊んでから。
優登が帰宅するのとどっちが早いか。
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