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第265話
コロコロとボールが転がりペットボトルに当たる。
コツン、コツン、と空っぽの音をさせながら倒れていった。
「綾登、いえーい!」
「えーい!」
手をパチンっと会わせると、小さな弟はペットボトルを直しに行った。
最近はこれが楽しいらしい。
弟が楽しいならなによりだ。
立てて並べるのを手伝っていると玄関ドアが開いた音がする。
そして、バタバタとドアを開けて顔を出したのは優登。
「ただいまー。
お、楽しそうなことしてんじゃん」
「たのしよ!」
「優登、俺晩ご飯の仕度したいから交替してもらって良い?」
「おん。
手ぇ洗ってくるから待ってて」
学校指定の鞄をその場に下ろし、ベビーガードの向こうへと行く。
手洗いうがいををしはじめた。
もう少し遊んでいたい気もするが、そろそろ仕度をしないと母が帰ってきて手伝いはじめてしまう。
せめて当番ではない日はゆっくりしていて欲しいんだ。
「ゆーととあそぶ?」
「うん。
俺、ご飯作るから良いかな」
「いーよっ」
「今日はワンタンにするな」
「すきっ!」
「俺も好き!」
手洗いをしながら優登も話にのってきた。
やっぱり、兄弟が揃うと楽しい。
「ははっ。
沢山作るよ」
「やったー!」
それと、荷物も開けたい。
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