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第270話

「いただきます」 「いただきます。 あ、誕生日おめでとうございます」 「ははっ、ありがとな」 「音楽流しますか? 誕生日の歌」 「いくつだと思ってんだよ」 「でも、誕生日はいくつになっても素敵な日ですよ」 こんなに良い子が世界の犠牲になる必要なんてない。 守りたい。 この子だけでも。 だけど、その願いと同じだけ一緒に使える時間も大切にしたい。 折角2人でいられる時間なんだから、そうしないと勿体ないだろ。 「俺にとって、今日は大切な日です」 そんな風に思ってもらえるなんてな あの日は、思わなかった。 考えることすらしなかった。 こんなにしあわせな日々なのに。 「抱負言います?」 「それ、新年じゃねぇのか? でも、まぁ。 今年も遥登と沢山イチャ付きてぇ」 ふにゃっと笑う三条と、今度こそケーキを食べる。 コンビニのショートケーキだが三条と食べれば格別だ。 プラスチックのフォークを突き刺し車の中でケーキを食べる。 色気もなにもない。 だけど、三条とならこれが良い。 「美味いな」 「はいっ。 美味しいです!」 「カップのモンブランも食え」 「半分こです。 なんで主役が遠慮するんですか」 「食わすのが楽しいから」 「正宗さんって変わってますよね」 「どこがだよ」

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