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第282話
「はい。
チーズ」
「ありあとますっ」
ご飯とあたためなおした味噌汁を持って食卓へ座ろうとすると自分の隣の席にちょこん綾登が座っていた。
どうやら一緒に食べてくれるらしい。
「いっしょ、ね」
「一緒に食ってくれんの?
ありがとうな」
「んへへぇ」
他のおかずは冷めてても良いか。
自分の席に座ると次男も此方へとやって来た。
けれど、陣取られた席にちいさな頭を撫でくり回す。
すっかり兄の顔をしている。
「俺の席じゃん」
「かーしーてー」
「まぁ、良いか」
向かいの席に座ると、そこでゲームをはじめた。
「あっちじゃなくて良いのか?」
「んー、1人より多い方が良いじゃん」
「へへっ。
愛されてんな」
「今更かよ。
なぁ、綾登」
「なぁ」
確かに、一緒に食べた方が美味しい。
なんだかんだ、結局仲が良い2人と一緒に食べる。
美味しい。
1人で済ます昼飯より、ずっと。
「あーと、ちーず、すき」
「美味しいよな」
「あのね、ゆーとのすき」
「優登の…。
あぁ。
あれか」
6コ入りの甘いチーズ。
苺や檸檬、ブルーベリー等の混ぜ込まれたデサートチーズだ。
この前安くなっていたのを2人で食べながらゲームをしていたのだが、トイレに行っている間に帰宅した綾登が優登に強請り一口もらったら、甘い!美味しい!とその魅力に取り付かれた物。
「すきぃ」
「たまに食べるから美味いんだよ。
毎日食ったら特別じゃなくなるだろ」
「うん?」
そんな2人を見ながら食事を食べ進める。
やっぱり美味しい。
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