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第292話
長岡の愛車が停車したのはコンビニ。
「一旦休憩。
なんか飲もうぜ。
なにが良い?」
「俺が行きますよ。
正宗さんは運転してくれてますから」
「良いって。
ほら、好きなの言いな」
でも…と渋っても長岡は譲らない。
こういう時の長岡は折れずに頑固だ。
自分のことを棚に上げ、そんなことを思う。
「勝手に買ってくるぞ」
「……じゃあ、麦茶…お願いします」
「任せとけ」
パタン、と閉められた扉になんとなく寂しさが涌き出る。
いつもと同じはずなのに。
なんだかソワソワしてしまい、待ち遠しい。
暫くするとレジに長身の影が訪れ、自動ドアを潜る。
「お待たせ」
「おかえりなさい」
すぐに帰ってきてくれたことがとても嬉しい。
犬のように尻尾を揺らし、迎えてくれる恋人に長岡も表徐を緩めた。
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