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第298話
後ろへと移動すると三条の腕を掴みシートに押し付けた。
「あ、の……」
「イチャ付くって言ったろ」
「……そ、ですけど」
愛猫達にするように愛おしい気持ちを伝えた。
けれど、恋人はもっと特別な存在だ。
家族だけど、もっと大切な存在。
愛おしくて、自分の命より価値がある。
この身で守れるなら命を差し出せる。
それが遥登だ。
首筋に顔を近付けると三条の喉が鳴った。
「ま、さむねさん…」
「大人のイチャ付き」
「大人の……え、」
「なぁに想像したんだよ」
細い首にキスをしてマーキングを残したいが、首は目立ち過ぎてしまう。
そして、思春期の弟の教育に良くない。
かわりというにはあまりに可愛いものだが、蓬がよくするように額を擦り付けた。
「…く、すぐったっ」
「擽ったいところは感じるところだろ。
遥登、首も敏感だもんな」
「違いますよ、…」
「違わねぇよ。
ほら」
「ちょ…っ、」
太股を付け根に向かって撫でる、三条の声が上擦った。
これで敏感じゃないなんて嘘だろ。
ボトムスの上から下着のラインをなぞる。
押し付けている腕が抵抗したいのが動いたが、押し付ける手に力を込めてそれを封じた。
「正宗さん、…」
「大人のイチャ付きだって言ったろ」
「俺…、まだ子供……」
「じゃあ、大人の世界を教えてやるよ」
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