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第320話
「お待たせ」
「……ありがとうございます」
「頭ハッキリしてきたか?」
「……すごく、」
ぽやぽやした三条をシートベルトで押さえ、いつもの駐車場まで運転してきたのだが、その間に三条の熱は覚めたらしい。
あのとろっとろの顔も可愛い。
けれど、この理性を取り戻した後の恥じらいもたまらない。
ギャップというやつ。
「すみません…。
俺、…はしたないことばかり…」
「はしたないって例えば?」
「………そ、の…、」
三条が言う“はしたない”とはどれなのか。
どれも、とても淫らで魅力的だった。
シートベルトを締めていなかったら隅で小さくなって反省会でもしそうな顔だ。
覚めた頭には、少し意地が悪過ぎたようだ。
「すっきりしたな」
「……はい、」
「俺もすっきりしたし、遥登の飲めたし満足だ。
それと、デートも出来たしな」
漸く此方を見たその顔に微笑みを手渡せば、確かに頭が上下した。
その頭を撫でる。
あまり触れて万が一があったら三条が悲しむ。
だけど、同じだけ三条を甘やかしたい。
「約束、忘れんなよ」
「……はい」
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