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第333話
もふもふの毛布にくるまり、画面を見れば大きな欠伸をする恋人。
先程の睡魔が残っているのか、どこか眠そうな目をしている。
ゲームをしようと誘われたが、やめた方が良さそうだ。
三条はゲーム機を枕元へと置いた。
「寝ますか」
『ゲームしねぇのか?』
「ゲームはいつでも出来ます」
『寝んのもいつでも出来んだろ』
「でも、今なら正宗さんが気持ち良く眠れます。
なんなら、俺の夢に出てきてくれるかもです」
夢の中なら、濃厚な接触も出来る。
勿論、夢は夢だ。
起きた瞬間の虚しさは苦しくて重い。
だけど、それでも会いたい。
夢だって、現実だって。
『服、反対にして着て待ってろ』
「はい」
古典の好きな人らしい返しに、ふにゃぁと笑っていると、三条の目蓋も重くなっていく。
会話らしい会話もなく、ゆっくりになる呼吸だけが耳に届くが、それがどちらのものなのかもう分からない。
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