343 / 810
第343話
余程寒いのか綾登は炬燵から顔だけを出してテレビを観ている。
気持ちはよく分かる。
寒いよな。
それに、炬燵は極楽だ。
だけど、まだ朝ご飯前。
「綾登、朝ご飯だよ」
「あーとーでぇ」
「今日は野菜スープだよ」
「んん。
とまと?」
「トマトだよ」
「ちゃーちゃーなぁ」
優登そっくりの喋り方をしながら、にこにこした顔で炬燵から出た。
トマト味の野菜スープ、ミネストローネが最近の綾登のブーム。
朝も、昼も、夜も、これが良い!と言うくらい。
確かに、冷えてきてあたたかな汁物が更に美味しくなった。
「こえ、すきぃ」
「良かった。
沢山食べてね」
「はぁい」
一緒に朝ご飯を食べる三条の隣で優登も眠そうな目でパンを齧る。
中学3年、受験生の不安は勉強でしか解決出来ない。
その間でゴッゴッとスープを飲み喉を鳴らす綾登。
シュールな朝だなと思いながら、皮がパリパリのウインナーを齧った。
ともだちにシェアしよう!