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第353話
「そんな喜んでもらえると嬉しいよ」
「嬉しいですっ。
可愛いですし、それに一緒に拾ったのですよ。
嬉しくないはずがありませんっ」
屈託ない笑顔。
嘘のない言葉。
それがなにより嬉しい。
「しかも、正宗さんが作ってくれたんですよ。
特別です」
そんな良いものではない。
けれど、渡して良かったと思える。
心の底から。
「あ、手…をお借りしても良いですか」
「うん?」
片手を差し出すと、三条は両手で受け取る。
先程同様にあたたかい。
あたたかいだけではなく、ペンダコや豆で所々堅くなっている。
きちんと勉強に向き合った勲章だ。
そんな手に包まれるのは、とても心地が良い。
「拭いてくださいね」
三条はそう釘を刺してからスリスリと頬をくっつけた。
本当に、今日の三条は大胆だ。
そして、とびきりに甘い。
「あったまってください」
他のトコロがあつくなりそうだ。
けれど、折角のご褒美。
心行くまで堪能する。
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