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第358話
「美味いな」
「はいっ。
サックサクですね。
カレーも美味しいですっ」
揚げたてサックサクの衣に、中身のカレーはまだあたたかい。
噛むとジュワッと衣が含んだ油が溢れ、口の中をジャンキーになるのが良い。
唇がテカテカになるのを軽く拭いながらもぐもぐと咀嚼する。
美味しい。
すごく美味しい。
それに、長岡と一緒に食事が出来てすごく嬉しい。
しあわけな気持ちで次もまた大きく頬張った。
「上顎大丈夫か?」
「はい。
これくらいなら平気です」
「そうだ、少し早ぇけどクリスマスの予約して良いか?
今年は土曜だろ。
金曜そっち行くから一緒に迎えてくれませんか」
長岡を見ればとても優しい顔をして自分だけを見ている。
そんなの、答えは知っているとばかりの顔で。
「良い、んですか…」
「勿論。
去年もそうしたろ」
「はいっ!
そうしたいですっ」
もっと嬉しい。
胸がきゅぅっとして苦しいはずなのに、感じるのは喜び。
「ケーキも食おうな」
「楽しみですっ」
「俺も、すげぇ楽しみ」
どこだって良い。
大切な人と迎えることが出来るのなら、それはしあわせだ。
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