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第360話

夕飯を食べて、また少しだけ長岡と深夜に会って神社で話をした。 どんぐりのトロロを見た末弟がどんなに喜んだか、一緒に踊ったかを伝えると、長岡は綺麗に整えられた眉毛を八の字にして笑う。 「そんな喜んでくれたのか。 嬉しいな」 「そりゃもう。 ご飯も一緒に食べるって、机に並べてました。 お風呂は止めましたけど、今も一緒に寝てると思います」 この笑い方が好きだ。 学校での笑い方とは全く違う、柔和なもの。 クラスメイトの誰も知らない特別な顔。 俺だけの特権。 「踊ってみせてくれよ」 「流石に…。 せめて部屋でなら」 「じゃ、今度部屋に来たらな。 俺もトロロ観て覚えようかな。 なんか、こんな感じだよな」 その言葉に、今度は2人で笑った。 夢だけど、夢じゃなかった。 今の生活も似たようなものを感じる。 好きな人と付き合えて、2人で笑い合えている。 それだけじゃない。 未来を貰った。 自分の未来をあげた。 ここの神に見せ付けたんだ。 この人としあわせになるって。 絶対に長岡のことをしあわせにしたいけど、不幸になるなら長岡と以外考えられない。 甘いのも酸っぱいのも、苦いのも、旨いのも、全部ぜんぶ長岡と半分こだ。 「庭に拾ったどんぐり植えそうです」 「そしたら、もっと楽しくなるな」 「はい」

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