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第364話
とうとうクリスマス前、最後の休日になってしまった。
なんか、頭がまわんねぇんだよな…
気負いすぎているのだろうか。
良いなと思ってもなんとなく違う気がしてしまう。
似合うなと思ってもそうだ。
大切なのは値段でもブランド名でもない。
長岡が1番喜ぶのは気持ちが籠っているもの。
なのに、なぜか気持ちが揺れてしまう。
雪を踏みながら、いつもの神社を目指す。
シャーベットみたいになっているところを避けながら真新しいそこを踏んでいると、街灯に照らされる長身の影を見付けた。
「正宗さん」
「お、こんなところで会えるなんて偶然だな」
もう雪なんてどうでも良い。
トットッと転ばないように駆け、近付く。
「走んなって。
転んだらどうすんだ」
「そんな子供じゃありませんよ」
「大人?」
「21ですよ」
「なら、今日は車で大人の時間に決定」
小指を絡めとられ、
「避妊具買いにコンビニ行くか?」
「声っ、大きいですかっ」
「んじゃ」
僅かに前屈みになるとふいに顔を近付けてきた。
「コンドーム、買いに行こうか」
鼓膜に吹き掛けられる言葉。
自分にしか聴かせることない甘い声。
一気に体温が上がり、顔が真っ赤になっていく。
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