377 / 729

第377話

クリスマスが終わると一気に年末感が強くなる。 スーパーに行けば、いつが大安だと鏡餅やしめ縄が出入り口前で売られ、正月料理に使われる野菜類もジンジワと値上がりをはじめる。 琴で奏でられる正月の曲。 本当に日本人は楽しいイベント事が大好きだ。 「すげぇ空気だよな。 昨日までは恋人とみたいな空気だったのに、今日からは家族とみたいなな空気だろ」 「あぁ。 言われてみれば」 買い物を頼まれた三条と、受験勉強の休憩に付いてきた優登。 気分転換も大切だ。 優登の成績なら大丈夫だろう。 自分と同じく、推薦を断ったらしい。 実力でいきたいという理由で。 優登らしい真っ直ぐな理由だ。 けれど、油断はいけない。 皆、頑張っているのだから。 「餅か。 腹持ち良いから食っちゃうよなぁ」 「食うか? 家にきな粉あったろ」 「うーん…。 綾登も食いたがりそう。 食わせて大丈夫?」 「あー、どうだろ。 まだじゃね」 「んじゃ、お菓子だろ」 スタスタとお菓子コーナーへと歩く背中は頼りがいがある。 そして、きっと綾登も好きな物を選ぶんだろうなと分かる。 「高いアイスでも良いけど」 「え! そっちが良い!」

ともだちにシェアしよう!