385 / 729
第385話
「あの…、弟の最近のブームをしても、良いでしょうか」
三条はおずおずと申し出る。
別に構わないというか、この恋人からされて嫌なことはほぼない。
嫌なこと……勝手に坊主にされるとかはまぁ嫌だが、そんなことをする子ではない。
その辺りは、ちゃんと信頼がある。
ほぼ二つ返事で頷いた。
「あぁ。
でも、どっちだ」
「下の弟です。
これ、元気が出るんです」
運転席と助手席の間から身体を滑り込ませると、肩に顔を埋められた。
「ぎゅー…」
「ははっ。
確かに、元気が出るな」
首を傾け、頬を三条の頭にくっ付ける。
本当にこれは良い。
元気が出る。
それに、嬉しい。
「元気、沢山分けたいです」
「沢山貰うな」
「それと、ちゃんとあったかくて良かったです」
「確認かよ」
「どちらかと言うと、俺の私欲です…」
「ははっ。
じゃ、俺からもぎゅー」
新年早々、狭い車内でイチャ付き笑い合う。
それだけで、今年が良い年になると思える。
「じゃあ、俺からも良いか?
遥登の都合が悪くなきゃ、明日しねぇか?」
「それは……、えっちぃ、こと…ですか」
「そ。
えっちぃこと。
弟の受験勉強で夜がまずいとかなら、部屋に来るまで待つ」
「それは大丈夫だと思いますけど…。
溜まってますか…?」
「溜まってるか溜まってねぇかで答えるなら溜まってるけど、単純にオナるなら遥登でオナりてぇだから気にすんな」
「……準備、しておきますね」
「えっろい言い方」
身体を離すと指の背で額を撫でた。
なんて、良い顔をするんだろうか。
「期待して待ってる。
じゃ、シュークリーム食うか。
半分こ」
「…はい」
ともだちにシェアしよう!