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第406話

「持つのか?」 「うんっ!」 ご機嫌な顔をした綾登は大切そうにバナナを両手で持った。 保育園の帰り道、そのまま夕飯の買い物へとスーパーに寄ったのだ。 そして、ここで時間を使い、優登を迎えに行く。 「ごあん、なぁに」 「うーん。 スパゲティ食べたいんだけど、トマトソースとたらこで迷ってる。 いや、やっぱりきのこも良い」 「なぽぽりたん は」 「あー、ナポリタンも美味いよな。 綾登はナポリタンにする?」 「たこさんね」 「分かった。 じゃあ、ウインナーも買おうか」 ウインナーをタコのカタチにしてナポリタンの隣に置くとうんと喜ぶ。 小さい頃は三条も、次男もそうだった。 みんな、そうして時間を使ってもらうことの喜びを知っている。 「うぃんなー、あっち!」 やわらかい髪の毛の真ん中に旋毛が見える。 それを指を押した。 すると、あーっと嬉しそうな顔が此方を見た。 次いで、笑う。 「へへぇっ」 「可愛いなぁ」 「かあい? はうともよ」 「俺も?」 「だいすきだもん」 籠を持つのと反対の手を繋ぐと弟はよりご機嫌になる。 とっても可愛い俺の弟。

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