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第407話

後部座席のドアを開けると、バナナを食べる弟がいた。 「おかえり」 「おーかえり」 「ただいま。 なんで綾登バナナ食ってんの」 「腹減ってるみたいで、すげぇ腹鳴ってんの。 で、食ってる。 半分食う?」 「もらう。 俺も腹減った…」 鞄を押し込め、弟の隣に座ると兄からバナナを受け取った。 すると、隣から同じ物が寄せられる。 「ぱんぱい!」 「乾杯な」 やわらかな果実同士をぶつけ乾杯。 そうしてやっと皮を剥く。 そして大きく齧り付いた。 「動くぞ」 「あーいっ」 ゆっくりと駐車場から動き出す。 学校が嫌いな訳ではない。 だけど、兄弟のいる自宅に帰るという行為はなんとなくホッとする。 「ゆーと。 がっこ、たのし?」 「楽しかったよ。 綾登は?」 「たのしかった! おえかき、した!」 「なに書いたんだ?」 保育園の鞄をの隣から、こえ!と持ち上げられた画用紙を見る。 「おちゃかな」 「お、美味そう」 「たべないよ!」 「えー、美味そうじゃん」 こんな憎たらしい弟と、それを微笑ましそうに聞いている兄が大好きだから。

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