408 / 729

第408話

チャイルドシートから綾登を下ろし、エコバックを持つ。 その間に自宅の解錠をしてくれた優登が戸を開けて待っていてくれた。 「ありがとう。 助かる」 「別に、こんなの普通だろ」 「たあいまっ」 「ただいま」 「おかえり」 「はうと、おかえりよ」 「兄ちゃんも、おかえり」 強火担当の弟達からの嬉しい言葉にマスクの中で頬が緩む。 「ゆーと、とって」 「あ? 自分で脱げんだろ」 「してぇ」 自宅で1人きりの日中とは違い、とても好きな空気だ。 明るくて賑やかで、うんと楽しい。 「てて、あらお」 小さくて冷えた手がエコバックを持つ手に触れた。 ニコッと此方を見上げ、早くと急かす。 「兄ちゃんも脱がして欲しいのか?」 「自分で脱げるよ。 綾登、手ぇ洗おうな」 「うんっ」 別に1人が寂しい訳ではない。 けれど、この賑やかさが“自宅”だ。 それが嬉しく思う。 「みあん、たべよ」 「まだ食うのかよ。 ナポリタン食えねぇぞ」 「たべえるもんっ」

ともだちにシェアしよう!