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第411話

駅前のバス停を通り過ぎ、駅の裏側へと向かう。 そこから10分程の距離の場所にあるコンビニの駐車場に、見慣れた車が停車していた。 その持ち主も気が付いたのか、近付くとロックが解除された。 「おはようございます」 「はよ。 バスに乗る前で良かったよ」 「迎えに来てくださって、ありがとうございます」 「俺が、遥登に少しでも早く会いたかっただけだよ。 気にすんな。 それより、コンビニ寄るか? 飲み物とお菓子は買ったけど」 キュンッとする言葉に、へちゃっと毒気のない笑顔を向けた。 長岡がくれる言葉の1つひとつから愛情が伝わってくる。 愛されていると自信を持って言える。 長岡を愛せてしあわせだ。 そして、愛されて、なんてしあわせなんだろう。 「すげぇ顔」 「好きです」 「ははっ。 俺も好きだよ」 「本気ですよ」 「俺も本気ですよ。 つぅか、知ってるしな」 前から伸びてくる手をとると、ぎゅっと握られた。 「愛してくれてんだろ」 その言葉に、はにかみながら頷いた。

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