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第412話

長岡は振り返り、三条がシートベルトを締めたことを確認すると声をかける。 「動くぞ」 「はい。 お願いします」 「お願いされました」 「デート、嬉しいです」 デートはデートだが、部屋を訪れる理由を忘れているのか無垢な顔でへちゃへちゃと笑っている。 いつ見ても毒気がなくて、此方の力まで抜けるような顔だ。 こんな風に笑う子が、あんなに淫らに乱れるのだから人間は外からの情報だけで判断出来ない。 「今日の目的忘れてんのか?」 「…?」 やっぱりだ。 だけど、すぐに頭をフル回転させているのか、ハッとした顔を此方に向ける。 「っ!!」 今日は、普通の家デートではない。 セックスをするんだ。 三条の後孔は、指では物足りないから。 泣くほどな。 「あ…、そ、れは…」 「思い出したか。 へにゃへにゃ笑うから忘れてんのかと思った。 ま、それならそれでも楽しいけどな」 ことは言え、のままデートをして、どこかのパン屋で昼を買って食べたって良い。 行為の為の用意はしてあるが、別にすることが最重要でもないのだから。 「するか? しなくても良いんだぞ」 「それは…………したい、です」 「今すぐローター入れたいほど?」 「ローター…」 「あるけど、入れるか?」 「え゛…」 「やべぇ、顔見てぇ…」 肩を揺らすのに気が付いたのか背後からモゴモゴと聴こえてくる。 「少しだけデートもさせてくれ。 部屋に行ったらよがらせてやるから」 「………はい、」

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