414 / 729

第414話

しょっぱい惣菜パンと甘い菓子パンで小腹を満たすと、今度こそ長岡の部屋へと向かう。 沢山は食べていないつもりだが、長岡のモノで突かれたら吐いてしまうだろうか。 早く消化されて欲しい。 スリ…っと腹を擦ってみる。 「腹、痛てぇか?」 バックミラーで見られていたのか、自分を心配する言葉が聞こえてきた。 視線を上げると案の定、ミラー越しに目が合った。 「え、あ、痛くないです…っ」 「本当か? じゃあ、待ちきれねぇ?」 「と、…んでもない……」 赤色の信号機に一時停止させると、ポイッとなにかが後ろへと放られた。 慌てて受け取ると、それは可愛らしい色をしたいかがわしい玩具。 それも大人用。 「なんで、持ってるんですか…っ」 「持ってるって言ったろ」 「……正宗さんの本当と嘘の違いが分かりません…」 「ははっ、俺は常に大真面目で生きてるぞ」 やっぱり、長岡は何枚も上手だ。 ジッとローターを見詰め、それをしまう。

ともだちにシェアしよう!