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第414話
しょっぱい惣菜パンと甘い菓子パンで小腹を満たすと、今度こそ長岡の部屋へと向かう。
沢山は食べていないつもりだが、長岡のモノで突かれたら吐いてしまうだろうか。
早く消化されて欲しい。
スリ…っと腹を擦ってみる。
「腹、痛てぇか?」
バックミラーで見られていたのか、自分を心配する言葉が聞こえてきた。
視線を上げると案の定、ミラー越しに目が合った。
「え、あ、痛くないです…っ」
「本当か?
じゃあ、待ちきれねぇ?」
「と、…んでもない……」
赤色の信号機に一時停止させると、ポイッとなにかが後ろへと放られた。
慌てて受け取ると、それは可愛らしい色をしたいかがわしい玩具。
それも大人用。
「なんで、持ってるんですか…っ」
「持ってるって言ったろ」
「……正宗さんの本当と嘘の違いが分かりません…」
「ははっ、俺は常に大真面目で生きてるぞ」
やっぱり、長岡は何枚も上手だ。
ジッとローターを見詰め、それをしまう。
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