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第437話
ブランケットにくるまってしまった三条に、コーヒーを持ってきたことを伝えると、ありがとうございます…とスカスカな声が返ってくる。
あの後も浴室で沢山鳴かせていたらこれだ。
帰宅させるまでに少しでも回復させないとまずそうだ。
それにしても、久しぶりに見た。
「コレ、久しぶりに見るな」
「……はずかしくて、」
「くっそえろかったぞ」
先程のハメ撮り動画をスマホから流すと、真っ赤な顔が出てきた。
恋人の扱い方は充分に理解している。
「声…っ、消音っ、」
「えっろい声だよな」
「……変な声ですから、」
赤くなった手足を湯船に浸からせながらマッサージしたり甲斐甲斐しく世話をしていると、どんどん頭が冷めてきた三条は次第に別の意味で顔を赤くした。
それでもやめずに、しっかりとぬくもらせてから身支度を整えたのだが、その間に体力を回復させたのかとても元気だ。
元気なことは良いことだ。
とりあえずは言うことをきいて再生を停めてみる。
「俺で感じてる声が変な訳ねぇだろ。
可愛い。
愛おしい。
最高だ」
「………俺の前で、観なければ…」
「おかずにしても?」
「…………恋人、ですから、」
「恋人?
予約済みだろ」
指輪を嵌めた手をとり掲げればもっと赤くなる。
どんだけ赤くなるんだと笑えば、三条は眉を下げふにゃっとした。
「その顔で、そういうことを言うのは狡いです…」
「遥登の方が狡いだろ。
ほんとに沼だろ」
「良く分からないです」
「俺の遥登はやべぇって話だ。
ま、コーヒー飲めよ。
甘くなくてぬるいやつ」
「ありがとうございます。
いただきます」
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