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第447話
見慣れない景色を眺めつつ、その手はぎゅっと握り締められている。
兄の運転してくれる車は時間よりゆとりを持っているせいか、ソワソワこそしないが、なんだからケツが落ち着かない。
悪戯にペットボトルのキャップを開けたりしてみたりを繰り返していた。
「優登、俺も言われたんだけどな、会場にいる人達はみんな頭が良さそうに見えるんだよ。
けど、見た目で判断出来ない。
気にすることはないってよ」
はい、着いた、と兄は近くの駐車場へと自動車を停車させた。
「この学校の受験受ける人なんてみんな学力に自信あるだろ」
「博打の人だっているかもよ。
俺も別に自信があった訳じゃないし。
それに、優登なら大丈夫。
俺の直感がそう言ってる」
頭の良い兄ですら、そうなのか。
それに、嘘でもその言葉が嬉しい。
ただ、背中を押して欲しい。
今までの頑張りを見ていてくれる人に、一言大丈夫だと言われたい。
それだけで、本当に大丈夫に思えるから。
うんん。
大丈夫なんだ。
出掛ける際に弟がぎゅーっと抱き締めてくれた。
お手本にしてる兄が、そしてどんな時も傍にいてくれふ両親が大丈夫だと言う。
なら、大丈夫だ。
大きく息を吸って、スーッと吐き出した。
モヤモヤも全部吐き出す。
「ありがとう。
全部出し切ってくる」
「おう」
差し出されたグーに自分のものをゴチッとぶつけ、車から降りる。
大丈夫。
「いってきます!」
「いってらっしゃい!」
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