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第449話

作ったご飯を冷ましながら、ボーッとテレビを眺める。 そういえば、と思い出したのは、試験の日は外部と連絡をとれないに続く長岡の言葉。 つまりは、伺わしいことはするなということだ。 これは毎年のことなので特に気にしてはいない。 いつもベタベタしている訳でもなく、各々好きなことをして過ごすことも多々ある。 昼休みにメッセージも返ってこなくとも寂しくはない。 公私を分けるのは大切なことでもあり、それを守れる人だから惹かれたんだ。 顔だけじゃない。 内面もとても美しい人だ。 返ってこないと分かっていても来たことと昼食を食べることを一応連絡する。 連絡をとれないに続いたのは、『昼飯を作っておくから食え』との言葉だ。 冷蔵庫から目玉焼きののったナポリタンを手に取った。 朝から作ってくれたそれ。 手間を掛けしてしまったと思うのと同時に、とても嬉しい。 自分の為に時間を使ってくれたことがなによりも。 俺も昼飯に持っていくと言っていたから、同じく昼飯を食べることが出来るのも愛おしい。 レンジであたため──目玉焼きはとろとろが良いので一旦退けた──、一緒に用意してくれたインスタントスープを作る。 至れり尽くせりの食事に長岡の愛情がぎゅーっと身体へと染みていく。 本当に大きな人だ。 そんな食事を机に置き、手を合わせる。 「いただきます」

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