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第450話
朝に分かれた駐車場で待っていると連絡を入れ、スマホをいじっていると、視界に動くものが入った。
顔を上げると緊張がほどけ、いつものふにゃっとした顔をしている弟。
「おかえり」
「ただいま。
つっかれたぁ」
いつものように人懐っこい顔を向けてくる弟。
朝とは顔が違う。
本当に出し切れたようだ。
それならなによりのこと。
努力は必ずは結ばれない。
だけど、過程と結果は必ずしもイコールでもない。
分けて考え、褒めることもまた当たり前だと思う。
「お疲れ。
弁当どうだった?」
「最高。
好きなのしか入ってなかった。
しかも、苺もぎっしり。
兄ちゃんは昼食った?」
「良かったじゃん。
俺も食ったよ。
じゃ、帰るか。
どっか行きたいとこあったら寄るから言えよ。
トイレ大丈夫か?」
「トイレは大丈夫。
でも、なんか食いたい」
緊張の糸が切れ空腹なのだろう。
自分の時もそうだった。
あの時は、栄養補助食品を持っていっていたからそれを食べようか迷いながら電車を待っていた。
まだ友達もおらず1人だった時の記憶だ。
懐かしい。
入学してすぐに田上と仲良くなり、吉田とも打ち解け、今じゃあの2人のいない学校生活なんて想像することも出来ないほど色鮮やかで楽しかった。
弟もそうであって欲しい。
友人に恵まれ、楽しく学校生活を謳歌して欲しい。
「パン屋とコンビニどっちが良い?」
「迷うなぁ」
「んじゃ、どっちも寄るか」
「やった!
兄ちゃん大好き!」
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