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第451話
「そういえば、何人か俺のこと見て驚いてた」
「生徒?」
「先生」
大方、自分と顔が似ているからだろう。
特に実習でお世話になった人文科や、在学中から勤務されている先生方には知った顔によく似た別人が受験生にいたら驚く気もする。
しかも名札には“三條”だ。
亀田や担当の教諭とは、家族の話になり歳の離れた弟がいることやこの学校を希望していることに軽く触れたが他の教諭達は知らないはず。
「実習でお世話になったからな」
「でも、マスクしてて似てるとか分かるか?」
「目元?
寧ろ、目元だけだからじゃね?
マスクで隠れてるところは想像すんだろ」
「ふぅん?
そういうもんか」
コンビニで買ったスナックを齧りながら、まぁ良いやとシートに深く沈み込む。
学校から離れてから気が付いたが、あの鯛焼き屋で鯛焼きを買えば良かった。
久しぶりにクリームがぎっしり詰まったあの鯛焼きが食いたい。
でも、来週の合格発表でも行くから良いか。
「綾登迎えに行く?」
「うん。
あ、でも、一旦家に帰るから安心しろ」
「え?
良いよ。
このまま迎えに行こ。
手間だろ」
兄らしさに増す弟は、今日は一段と格好良く見える。
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