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第454話

「休みさいこー…」 中学に籍はあれど卒業し、受験も終わった優登にとって、これほどまでに有意義な休みはない。 それが例え合格発表までの1週間でも。 控えていたお菓子作りをしたり、ひたすら寝たり。 同じく春休みを迎えた──春休みではなくともほぼ自宅にいるが──兄とゲームをしたりと、受験勉強に宛がっていた時間を取り戻すように伸びのびと過ごしている。 それがどれほど楽しいか大人達も覚えがあるだろう。 「兄ちゃん、出来たけど食う?」 三条が台所を覗くとデコレーションの終わった可愛らしい春の色があった。 「お、美味そう。 食って良いの?」 「勿論」 「じゃあ、遠慮なく」 下から、白、ピンク、鮮やかな苺色の綺麗なムースケーキを作りあげた優登は大きく包丁で切り分けた。 中から苺が顔を出すのが可愛らしい。 上手く断面も見えるし、これは自画自賛してしまう。 「おー、綺麗!」 「めちゃくちゃ上手くいった! 写真撮ろ。 作ってるとストレス消えてくんだよなぁ。 めちゃくちゃ楽しい」 「沢山食うから、沢山ストレス発散しろ」 「じゃあ、明日の昼飯はたこ焼きにしよ!」 「良いな。 チーズとか入れようか」 「美味いやつ!」 パシャパシャと記録用の写真を撮り終え、あたたかなコーヒーと一緒におやつにする。 炬燵の上で見ても、可愛らしい。 これは大満足の出来だ。

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