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第456話
合格者は事前説明の為一旦校内へと案内される。
手を振り見送っていると、自分に気が付いた教師が驚いた顔をした。
「三条くん?
どうしたの」
「ご無沙汰してます。
弟の合格発表で来ました」
「弟さんの?
お兄さんと同じところ受けたんだ。
あの…、合否は…」
「合格をいただきました。
来年度からよろしくお願いします」
深く頭を下げる三条に、職員は頭を下げ返した。
「来年度が楽しみね。
あ、亀田先生っ、三条くんいますよ」
「おや、三条くん。
お久しぶりですね。
元気でしたか」
「はい。
亀田先生もお変わりありませんか」
「元気ですよ。
それで、今日はどうしたんですか」
「それが、弟さんの合格発表ですって。
合格したそうですよ」
「おや。
それは、おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「新学期が楽しみですね」
自分達が通っていた時のようにはいかないこともある。
それでも、大切な青春だ。
いくら大人が押さえ付けてもそれは決して奪えない。
キラキラ輝くかけがえのない一瞬だ。
この学舎で沢山の青い春を謳歌して欲しい。
負のことに目を向けすぎて、楽しいことに気が付けないなんて寂しすぎる。
うんと、うんっと楽しい学校生活が送れますようにと願いを込めながら先生達に、そして校舎に頭を下げた。
3年間、よろしくお願いします。
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