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第460話

こっそりと家を抜け出し平日の今日もデート。 本来なら会えない日。 だけど、会う理由がある日。 その嬉しさに足跡が弾む。 「正宗さんっ」 「遥登」 神社へと続く道の向こうに恋人の姿を見付けた。 そして、それは向こうも同じだったらしい。 どちら共の歩みの早さが増し、ちょうど真ん中で合流だ。 「こんばんは」 「こんばんは。 呼び出して悪いな」 「いえ。 俺も会いたかったです」 会えるなら毎日だって会いたい。 そもそも、高校生の時はそうだった。 平日の多くの時間を過ごす学校で会い、土日も部屋へと入り浸っていた。 そうしていたって飽きないし、もっとと思う気持ちもある。 ビデオ通話がある。 だけど、生で会える喜びとはまた違う。 触れること、触れられること、その喜びはなににもかえられない。 「とりあえず座るか。 車と、そこのベンチどっちが良い?」 「2人きり…が、いいです」 「じゃ、駐車場までデートしような」 さっと指を絡め取られ、にっこりと微笑まれる。 この季節のように綺麗な顔だ。 「嬉しいです」 「俺も嬉しいよ」 時々子供みたいにカタをぶつけ合いながら短いデートをする。

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